大谷翔平選手といえば、日本人離れした体格と筋力も有名です。
身長193cm・体重95kg (WBC2023出場時)
プロレスラーとしても活躍できるほどの体格です。
ただ、そんな大谷選手もプロ野球選手になったばかりの19歳の頃の体重は86kgほどで、今より約10kg軽かったようです。
もちろん脂肪で体重を増やしたわけではなく、地道なウェイトトレーニングと食事管理によって、筋肉を10kg増やしたということです。
もともと常人離れした筋力の持ち主が、さらに10kgの筋肉を上積みしたのですから、メジャーでもトップレベルのパワーになるのも納得です。
この記事では、大谷翔平選手の筋トレについてまとめました。
大谷翔平選手の筋トレメニュー
大谷翔平選手がやっている筋トレのメニューをざっと紹介していきます。
最初のデッドリフトだけ、特殊な器具を使ってるので少し詳しく解説します。
デッドリフト
重りのついたバーベルを腰の高さまで持ち上げるトレーニングです。
動画の中で大谷選手は225kgを上げています。
自身の体重の2倍以上の重量を上げているわけですから、さすがトップアスリートですね。
デッドリフトで鍛えられる筋肉は、主に大殿筋・ハムストリングス・脊柱起立筋・広背筋・僧帽筋といった背面の筋肉です。
これらの筋肉は、スポーツパフォーマンスの向上には欠かせないものばかりです。
そういった筋肉を一度に効率的に鍛えられる優れたトレーニングがデッドリフトです。
ただ、デメリットもあります。
それは腰を痛めやすいことです。
通常のデッドリフトは次の動画のような動きをします。
このようにストレートバーベル(まっすぐな棒)にウエイトをつけて行う方が一般的です。
理由は、通常のジムには一般的なバーベル(まっすぐな棒)しか置いてないからです。
持ち上げるときに、バーが膝より前を通過するため、ウエイトの重心が身体の重心軸よりも外側にきてしまいます。
これが腰に負担がかかりやすくなる原因です。
一方、大谷選手が行っていたデッドリフトはヘックスバーと呼ばれる特殊な形状をしたバーベルを使っています。
バーが曲がっているため、すっぽりと中に入ることができます。
身体の重心とウエイトの重心の軸がピッタリと一致するため、持ち上げ始めから最後まで真っ直ぐに引き上げることができます。
通常のバーのデッドリフトよりも腰を痛めにくいです。
プロスポーツ選手はパフォーマンスアップのために筋力トレーニングするのであって、そのトレーニングでケガをしてしまっては何の意味もありません。
ケガのリスクの少ない器具を使ってトレーニングすることも一流の証と言えるでしょう。
バーベルスクワット
トレーニングの王様と呼ばれるバーベルスクワットです。
これだけで、全身の7割以上の筋肉を鍛えられます。
見栄えの良いかっこいい身体を作るなら、上半身の筋トレをメインに頑張れば良いのですが、上半身の筋肉量はたかが知れています。
身体の筋肉の大部分は下半身の筋肉であるため、下半身の筋肉を中心に鍛えることで爆発的なパワーを生み出せるようになります。
そのパワーを上手く全身に連動させて伝えていくのがスポーツパフォーマンスアップのコツです。
正直、下半身の筋トレはキツいのでやりたがらない人も多いのですが、大谷選手はもちろん超一流なので、バーベルスクワットもしっかりと行っているようです。
バックランジ
ランジとは、脚を前後左右に開きながら股関節の曲げ伸ばしを行う筋トレです。
フロントランジ(脚を前に踏み出す)が一番ポピュラーでやりやすいと思います。
大谷選手が行っているバックランジは脚を後ろに踏み出すもので、バランスをとるのが難しく上級者向けのトレーニングと言えます。
おまけにバーベルを担いで行っているので、さらに難易度は高いです。
大殿筋やハムストリングスといったお尻周りの筋肉に対して効果が出やすいメニューになります。
ヒップエクステンション
次の動画の11:08あたりから
これも大殿筋やハムストリングスといったお尻周りの筋肉によく効くトレーニングです。
「さっきからケツばっかり鍛えてるやん!」と言いたくなりますが、それほどお尻の筋肉は大事なんです。
大殿筋はお尻の筋肉の中では一番外側に位置し、単一の筋肉としては人体最大の面積を占めます。
大殿筋やハムストリングスはスポーツシーンにおいて爆発的なパワーを生み出すのに役立つ筋肉です。なので、一流の選手なら発達しているのが当然で、鍛えに鍛えまくって損はありません。
大谷選手がいろいろな方法でお尻周りの筋肉を鍛えているのには理由があります。
特異性の原理といって、筋肉は鍛えたようにしか動きません。つまり同じ動きばかりで鍛えていると、実際のスポーツの場面では特定の条件のみでしか使えない筋肉になってしまいます。
複雑な筋肉の動きを必要とする野球選手なので、細かな筋肉の動きの違いも意識してトレーニングしているのだと思います。
ベンチプレス
下半身が大事なのは疑いの余地はありませんが、一流の大谷選手はもちろん上半身も鍛えています。
ベンチプレスを行うと、大胸筋や小胸筋といった胸の筋肉、三角筋や上腕三頭筋などの肩や腕の筋肉を鍛えられます。
スクワット・デッドリフト・ベンチプレスは筋トレの基本のBIG3と言われており、大谷選手も例外なく行っています。
スナッチ
次の動画の12:21あたりから
スナッチは瞬発力を鍛えることができるトレーニングです。
これ自体が重量挙げの種目の1種ですね。
筋肉をつけるためというよりは、全身の筋肉を連動させて働かせることを覚えるためのメニューです。
かなりのテクニックが必要であり、アスリートだからこそ取り組みたいメニューです。
一般人の場合、この動きをするだけでも難しいと思います。
その他の様々なトレーニング
これまで紹介したメニューはフリーウエイトのトレーニングで、主に筋力を高めることを目的としたものです。
まずは土台となる筋力をしっかりと高めて、その上でファンクショナルトレーニングや柔軟性を高める運動もしっかり行い、機能性を高める(動ける身体にする)この流れが大事です。
大谷選手はもちろんそのあたりも抜かりなくやっているようです。
キックボクシング。これはリラックスすることも兼ねていそうですね。
ユニークなウォーミングアップ
他のメニューの大谷選手のトレーニング動画が見つかれば、これからもどんどん紹介していきたいと思います。
大谷翔平選手の筋トレのMAX重量
MAX重量にはこだわっていない
大谷選手は野球でのパフォーマンスを上げるために筋トレをしているので、MAX重量には全くこだわっていないようです。
その証拠に、デッドリフトやスクワットをしている映像を見ても、トレーニングベルトを腰に巻いていません。
膝に二―スリーブもつけていません。
トレーニング経験者ならわかると思いますが、トレーニングベルトや二―スリーブなどのギアをつけるとつけないでは、扱える重量が全く変わってきます。
この動画のデッドリフトでは、265kgを余裕で3回も上げています。
しかも、トレーニングベルトなどをつけていない状態で上げています。
もし大谷選手がギアをつけてMAX重量だけにこだわったら300kgを上げることは確実でしょう。
デッドリフトとスクワットに関しては300kg以上、ベンチプレスも150kg以上が可能なはずです。
これは、大谷選手が今からパワーリフティングの選手に転向したとしても、すでにトップクラスの実力があるということです。
MAX重量にこだわっているわけではなく、ただ野球のパフォーマンスアップのためだけにトレーニングしている、それでも扱う重量はトップクラス!
まさにバケモノと言っていいでしょう!
なぜギアをつけないのか
トレーニングベルトなどのギアをつけるとケガの防止につながります。
とんでもない額を稼ぐメジャーリーガーですので、当然ケガしないように細心の注意を払っているはずです。
トレーニングでケガをしてしまったら、その損失は計り知れません。
なのにギアをつけない。
これには何か理由がありそうです。
大谷選手はその理由を語っていないので、私なりに勝手に予想してみました。
- トレーニングフォームが完成されており、ケガをしない自信がある
- ギアをつけないことによって腹圧のコントロールを自分でしなければならないが、そのコントロールも重要であると考えている
このあたりの理由ではないかと予想します。
まずトレーニングフォームについてですが、スクワットにしろデッドリフトにしろ、本当にお手本のようなフォームだと、プロのトレーナーたちが絶賛しています。
理想的なフォーム、それはつまりケガをしにくいフォームだということです。
大谷選手は筋力とフォームにかなりの自信があり、「このトレーニングでこの重量ならケガの心配はない」というふうに考えているのかもしれません。
次に、腹圧への意識です。
トレーニングベルトをつけることで、腹圧が高まり より高重量のウエイトを扱えるしケガの予防にもなる、これが通説です。
でもベルトで腹圧を高めるということは、自身の意識によって高めているわけではありません。
大谷選手のようなホームランバッターは、バットを振る瞬間の腹圧も人智を超えたレベルなのでしょう。
自身の意識で腹圧を高めてパフォーマンスを発揮することにもっと慣れるために、トレーニングの段階から”あえて”ギアを装着しない。
このような理由ではないかなと思います。
大谷翔平選手の握力
大谷選手の握力は60kgほどとのことです。
成人男性の平均が47kgなので、けっこうな強さです。
ただ世の中には握力90kgの人とかもいるので、トップクラスに強いわけではなさそうです。
そもそも握力は、スポーツパフォーマンスにはほとんど影響しないと考えられています。
メジャーのトップバッターでも握力50kgの人はいるそうですし、野球よりももっとパワーが必要な大相撲の力士でも握力60kgぐらいの人は多いそうです。
あの大横綱の白鵬さんでも70kgぐらいだったとのことです。
握力はスポーツパフォーマンスとはほとんど関係ないことがわかりますね。
大谷翔平選手の筋トレ頻度
ほぼ毎日に近い頻度
大谷選手の筋トレの頻度、これはシーズン中とオフシーズンで違うはずです。
試合のないオフシーズンの11月~1月にかけては、ほぼ毎日行っていると思われます。
それはなぜかというと、WBCの期間中やシーズン中の試合後にも筋トレを行っていたという情報があるからです。
ダルビッシュ選手も感心するほどだったといいます。
シーズン中でもそんなかんじなので、筋力をアップさせたいオフシーズンはかなりの頻度で筋トレを行っているはずです。
シーズン中は、オフシーズン中につけた筋肉を落とさないように、適度な頻度でやっているものと考えられます。
そんなにやって身体は壊れないのか?
筋トレの後はしっかり栄養と休息をとり筋肉の超回復を促す、これは常識です。
大谷選手みたいに毎日筋トレをやっちゃうと筋肉が超回復しないのでは?という疑問が湧いてきます。下手すると身体が壊れるのではという心配もあります。
でもそこは大谷選手!
ちゃんと大丈夫だという算段があってやっているのでしょう。
身体のケアのしかた・栄養の取り方・休息の取り方、これらに関してもめちゃくちゃ高いレベルで実践しているので、問題なく筋肉が超回復するのだと思います。
なんたって1日に10時間以上寝るという噂ですからね。
一般人は、毎日ハードな筋トレというのはマネしないほうがいいでしょう。
大谷選手は身体のケアのレベルも違います。
大谷翔平選手はどんなプロテインを飲んでいるのか
調べたところ、SAVASの「WHEY PROTEIN 100」を愛用しているとのことです。
SAVAS(ザバス) は、株式会社明治のプロテインのブランド名です。
日本では最もポピュラーなプロテインのブランドです。
マニアックでどこの会社が造ったのかわからないプロテインより、信頼のおける日本の大企業がたしかな技術で造った、たしかな品質のものを選択しているのだと思います。
大谷選手は明治ともCM契約しており、サバスのCMに出ています。
大谷翔平選手の筋トレ:まとめ
大谷選手は筋トレをほぼ毎日行い、飲んでいるプロテインはSAVASのWHEY PROTEIN 100で、身体のケアもすごいレベルで行っています。
筋トレのメニューは、バーベルスクワット・デッドリフト・バックランジ・ヒップエクステンション・スナッチなどで、主に下半身それも股関節周りの筋肉を重点的に鍛えているようです。
奇をてらったメニューではなく、トレーニングの王道と言われるメニューを淡々と理想的なフォームで行っています。
また、マシントレーニングよりもフリーウエイトを使ったトレーニングを多く行っているようです。
私(筆者)も様々なスポーツやトレーニングを経験してきましたが、スポーツパフォーマンスを高めるためには、フリーウエイトでトレーニングしたほうが効果的だと考えています。
なぜフリーウエイトが良いのか、次の記事で解説したいと思います。