児童手当に関する情報をできるだけ網羅して、わかりやすくまとめています。
児童手当はいくらもらえる?金額について
児童手当の月額
下の表の額は、2024年(令和6年)9月までのものです。
※ 10月からは拡充および増額の予定です。詳しくはこちら
子どもの年齢 | 支給額(月額) |
---|---|
0~3歳未満 | 15,000円 |
3歳~ 小学校終了前 | 10,000円 15,000円(第3子以降)※ |
中学生 | 10,000円 |
※ 第3子以降とは、扶養している高校生以下の子どもで、3番目以降の子どものことです。
例えば、高校3年生・中学2年生・小学4年生・小学2年生と4人の子どもがいる場合、小学生の二人が第3子・第4子に該当します。(当たり前ですね)
しかし1年後は、大学1年生・中学3年生・小学5年生・小学3年生となり、一番上の大学1年生は扶養している子どもとしてカウントしないので、小学5年生の子が第2子・小学3年生の子を第3子として扱うそうです。小学5年生の子は3番目の子どもなのに、第2子としてカウントされるため月額10,000円となってしまいます。
これはちょっと納得のいかない制度ですね。
実際、これには国民から不満の声が多く出ており、カウント方法の見直しが検討されています。
詳しくはこちら
月額10,000円がもらえない場合もある
「特例給付」といって、児童手当がもらえる年齢の子がいても、親が高所得の場合は支給額が減らされます。
子どもの年齢に関係なく、月額5,000円だけの支給となります。
世帯主と扶養に入っている配偶者・子ども2人という4人家族の場合、だいたいの目安として世帯主の年収が960万円を超えると特例給付の対象となってしまいます。
しかも、令和4年(2022年)10月から世帯主の年収が約1,200万円を超えると、この特例給付すら受け取れなくなりました。たくさん税金を納めているのにも関わらず0円です。これはちょっとヒドイですね。
やはりこれにも批判が多く集まっており、令和6年(2025年)10月から、この所得制限は撤廃されることになりました。
児童手当を受け取るまでの条件・申請方法・現況届
受け取れる条件
児童手当を受け取るには、条件があります。
それは、所得が一定の金額以下であることです。上の章でも述べたように、年収が約1,200万円以上になると一銭も受け取れず、960万円前後(家族構成によって多少違う)になると特例給付となり月額5,000円だけの給付となります。
なお、この所得の判定は、両親2人の所得を合算した額ではなく、所得が高い方の額で判定します。
ただし、離婚協議中などで両親が別居している場合などは、子どもと同居している方が受給者となり、その人の所得で判定します。(単身赴任などで別居しているだけで、生計が同じ場合は通常の判定の仕方になります。)
両親ではなく、祖父母などが子どもを養育している場合も、祖父母などが受給者となるので、その祖父母の所得で判定されます。
申請方法
児童手当の申請は、子どもが生まれた翌日から15日以内に「認定請求申請」を住んでいる自治体の役所で行います。
申請の際には、個人番号確認資料(マイナンバーカードなど)、本人確認資料、振込口座の預金通帳 などの情報が必要です。
生まれた日から14日以内に出生届けを役所に出すので、そのときに一緒に手続きするのが一般的です。
そのため、申請し忘れることはあまりないと思われます。
もし申請が遅れてしまった場合、遅れた分だけ支給対象期間が短くなり、受け取れる手当が少なくなってしまいます。申請し忘れないように注意が必要です。
なお、「認定請求申請」が必要なのは、1人目が生まれたときと、違う自治体から転入(引っ越し)してきたときです。
第2子以降の出生などにより児童が増えたときは、「額改定認定請求書」を提出します。
役所から案内があるはずなので、ちゃんと目を通していれば申請し忘れはないでしょう。
公務員の場合は、申請方法が違う
公務員*については勤務先から児童手当が支給されます。
そのため、申請も勤務先にすることになっています。
公務員が勤務先の官署に変更があった場合、新しい勤務先への申請が必要となります。
公務員を退職した場合は、退職日の翌日から15日以内に居住する自治体で手続きが必要です。
また、自治体から児童手当を受給していた人が、新たに公務員になった場合は「受給事由消滅届」の提出が必要になるので、居住する自治体で手続きを行ってください。
その後、職場での手続きとなります。
ワンポイント疑問
Q. なぜ公務員だけ職場から児童手当が支給されるの?
A, 児童手当の財源は国・地方・事業主が分担して拠出しています。つまり勤めている会社からもお金が支払われているということです。
公務員の場合、勤め先が国または地方自治体なので、拠出金は全て同じところが出しています。なので、支給の申請も同じところでした方が合理的だという判断とのことです。
Q. うーん、納得できるようなできないような回答…
A. 確かに…でも国会で同じような質問があり、このように答弁されたそうなんだよ。これで納得するしかないようです。
現況届を毎年提出する必要がなくなった
引き続き児童手当の受給資格を満たしているのかどうかの確認のため、「現況届」を毎年提出しなければなりませんでした。
2022年(令和4年)6月より、現況届の提出は原則不要となりました。
こういう改正は助かりますね。
ただし、以下に該当する方は、現況届の提出が必要です。
- 離婚協議中で配偶者と別居している受給者
- 配偶者からの暴力等により、違う自治体に避難しており、住民票を置いている自治体から児童手当を受給している受給者
- 戸籍や住民票がない支給要件児童(無戸籍児童)を養育する受給者
- 法人である未成年後見人、施設等の受給者
- その他、自治体から提出の案内があった受給者
何歳までもらえるの?対象年齢について
児童手当の支給対象の期間は、生まれた月の翌月から中学校卒業の3月までとなっています。
※ 2024年10月より支給対象期間を高校卒業の3月まで延長する予定です。
ということは生まれ月によってもらえる額の総額が変わってきます。
早生まれの子の方が、総支給額は少なくなります。
なんか不公平な感じがしますが、早生まれの子の方が一般的に早く社会人になるため、子どもとして養育されている期間が短い、だから児童手当の総支給額が少なくなっても文句言うな
こういう理論なのでしょうか?
うーん、ちょっと納得し難い感じがしますね。
総額いくらもらえるのかシュミレーション
児童手当は総額でいくらもらえるのか計算してみました。
第1子と第2子の場合
【計算方法】
15,000円 × 35ヶ月 (3歳になるまでの期間) + 10,000円 × 144~156ヶ月 (中学卒業月までの期間)
2024年の拡充後は、高校3年間10,000円支給なので360,000円プラス
おおよそ200万円強の金額です。
生まれ月 | 現行制度 の総額 | 2024年10月 以降 (予定) |
---|---|---|
4月2日~ 4月30日生 | 2,085,000 円 | 2,445,000 円 |
5月生まれ | 2,075,000 円 | 2,435,000 円 |
6月生まれ | 2,065,000 円 | 2,425,000 円 |
7月生まれ | 2,055,000 円 | 2,415,000 円 |
8月生まれ | 2,045,000 円 | 2,405,000 円 |
9月生まれ | 2,035,000 円 | 2,395,000 円 |
10月生まれ | 2,025,000 円 | 2,385,000 円 |
11月生まれ | 2,015,000 円 | 2,375,000 円 |
12月生まれ | 2,005,000 円 | 2,365,000 円 |
1月生まれ | 1,995,000 円 | 2,355,000 円 |
2月生まれ | 1,985,000 円 | 2,345,000 円 |
3月生まれ | 1,975,000 円 | 2,335,000 円 |
4月1日生 | 1,965,000 円 | 2,325,000 円 |
4月1日生まれは一番遅い早生まれで、上の学年になってしまいます。
そのため、他の4月生まれの子よりも12ヶ月間も支給対象期間が短くなります。
その差12万円!
私の感覚では不公平だなと思います。
第3子以降の場合
【計算方法】
15,000円 × 143~155ヶ月 (小学校卒業月までの期間) + 10,000円 × 36ヶ月 (中学生の期間)
2024年の拡充後は
30,000円 × 215~227ヶ月 (高校卒業月までの期間) ※注意事項あり
250万円強から、600万円以上に増える予定です。
生まれ月 | 現行制度 の総額 | 2024年10月 以降 (予定) |
---|---|---|
4月2日~ 4月30日生 | 2,685,000 円 | 6,810,000 円 |
5月生まれ | 2,670,000 円 | 6,780,000 円 |
6月生まれ | 2,655,000 円 | 6,750,000 円 |
7月生まれ | 2,640,000 円 | 6,720,000 円 |
8月生まれ | 2,625,000 円 | 6,690,000 円 |
9月生まれ | 2,610,000 円 | 6,660,000 円 |
10月生まれ | 2,595,000 円 | 6,630,000 円 |
11月生まれ | 2,580,000 円 | 6,600,000 円 |
12月生まれ | 2,565,000 円 | 6,570,000 円 |
1月生まれ | 2,550,000 円 | 6,540,000 円 |
2月生まれ | 2,535,000 円 | 6,510,000 円 |
3月生まれ | 2,520,000 円 | 6,480,000 円 |
4月1日生 | 2,505,000 円 | 6,450,000 円 |
第1子・第2子の場合と比べてして支給額が多いので、誕生月による差がますます広がっていることが気になります。
2024年の拡充後は、4月2日~4月30日生まれの子と4月1日生まれの子の差が36万円もついてしまいます。これはあまりにも不公平です。
また他にも注意点があり、実は上の表どおりの額が受け取れないケースが多々あります。
理由は以下で説明します。
第3子の数え方がおかしい
児童手当の第3子の数え方は、養育している18歳(高校生)以下の子どものうち3番目ということです。
つまり第1子が高校を卒業すると、この第1子を子どもとしてカウントせず、今まで第2子だった子が第1子となり、第3子だった子が第2子になるというわけです。
一般的に、第1子と第3子の年齢は離れているので、第1子が高校を卒業したあとも第3子の児童手当の支給対象期間はしばらく続きます。
にも関わらず、第3子の扱いでなくなるため少ない額の受給となってしまいます。
3番目の子であることに変わりはないのに、支給額が少なくなるのは納得がいきません。子どもが2人の家庭よりもお金がかかるのも事実です。
このおかしな第3子の数え方については、政府与党からも疑問の声が上がり、現在見直しを検討しているようです。具体的には第1子が大学を卒業する年度(22歳の年度)まで3番目の子を第3子として数えようという案が出ているようです。
第1子を22歳の年度までカウントする案が実現したとして、第1子と第3子の年齢差が4歳以内であれば、第3子は上の表どおりの額が受け取れます。
5歳以上離れている場合は、上の表よりも受け取る額が少なくなってしまいます。
うーん、現行の第1子を高校卒業と同時にカウントしなくなる制度よりは歓迎しますが、なんともセコイですね!
そもそも第3子までいる家庭の方が圧倒的に少なく、第1子と第3子が5歳以上離れている家庭はさらに少なくなるので、全体から見た割合は知れているはずです。
第1子がウンヌンではなく、3番目の子が高校を卒業するまでちゃんと第3子としてカウントすればいいのに!
必要な予算は、そこまで変わらないはずです!
児童手当の総額に関して考察
現在、子ども一人を大人まで育てるのに、3,000万円~4,500万円ぐらいかかると言われております。
考察をする際の計算として、平均値をとりたいので10月生まれぐらいの子を基準に考えます。
また、2024年の児童手当の拡充はもうすぐなので、拡充後の金額をもとに計算します。
【子どもが1人または2人の場合】
子ども1人あたりの受け取れる児童手当の期待値 238万円
子どもの養育にかかる費用のうちの 5.2%~7.9%が児童手当で賄える
【子どもが3人の場合】
3人分の受け取れる児童手当の期待値 1,136万円
3人の養育にかかる費用 9,000万円~1億3,500万円のうちの 8.4%~12.6%が児童手当で賄える
【子どもが4人の場合】
4人分の受け取れる児童手当の期待値 1,796万円
4人の養育にかかる費用 1億2,000万円~1億8,000万円のうちの 10.0%~15.0%が児童手当で賄える
多子世帯になるほど、補助される割合は増えるので、子どもを増やそうとする政策の意図には合っていると思います。
私は子どもを3人育てているので多子世帯に該当するのですが、約1億円必要という現実を知ると冷や汗が・・・
ただ、一番お金のかかる大学に関しては教育ローンを利用する手もありますし、児童手当にも頼りつつ、夫婦2人で働いていればなんとかなるものだなと実感しています。
日本の子どもの数が少しでも増えて、社会が安定することを期待したいですね。
【追記】多子世帯は大学無償化?
「2023年12月7日、政府が2025年度から3人以上の子どもを持つ世帯について、大学の授業料などを無償化する方針を固めた」と報道がありました。
3人目以降が大学無償化ではなく、1人目・2人目も含めて全員が無償ということです。しかも所得制限なし。
これは3人以上の子どもがいる世帯にとっては大きいですね。
より多子世帯の子育てがしやすくなります。
高校卒業まではできるだけ公立に通わせるなどすれば、子どもが3人・4人いてもなんとかなる家庭が増えるのではないでしょうか。
ただ、少子化対策ということであれば、現在未婚の人へのアプローチを強化したほうが効果的だという意見もあります。
日本は婚姻率と子どもを持つ率が密接に相関しているので、まず若い人に結婚してもらう、そのうえで子どもを産んでもらう。0→1にするための支援がまず必要だとのことです。
政府には、効果的でバランスのよい施策を実行してもらいたいものです。
【2023年12月12日さらに追記】
11日に公表された「こども未来戦略」案によると、3人の子どもがいるとして、第1子が大学を卒業して扶養を外れると、扶養する子どもが2人になるため、第2子と第3子は大学無償化の対象外とのことです。
第1子と下の子たちの年齢が離れている場合、この大学無償化の恩恵をほとんど受けられないことになります。
やっぱり「なんじゃそら?」という制度になりそうですね。
改善されることを期待します。
児童手当の支給日はいつ?
児童手当の支給日は、毎年6月・10月・2月と4ヶ月ごとになっています。
これは、2月分~5月分を6月に・6月分~9月分を10月に・10月~1月分を2月に支給ということです。
児童手当は登録している銀行口座に振り込みで支給されます。
支給される月の何日に振り込まれるかは、各自治体によって異なります。
2024年10月から児童手当を高校生まで拡充および第3子以降の増額をすることになっていますが、それが実際に振り込まれるのは2025年2月ということになります。
いや遅すぎるだろ!!
どこが異次元の少子化対策なんだ!?
という批判も多々ありまして、それが影響したのか、2024年12月から支給に早まったみたいです。
ただ、これは今まで4ヶ月おきに支給していたものを2ヶ月おきにするから早まるだけのようです。
2024年の10月分と11月分を12月に振り込むというだけです。
児童手当の拡充・増額の時期が早まったわけではなく、ただ支給日が早くなったというだけです。
しょぼい!
ということで、2024年12月からは支給日は毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月と2ヶ月おきとなるようです。
あ、現行の制度では10月に支給されるので、正確には2024年10月から2ヶ月おきに振り込まれることになりますね。
高校生や第3子以降の増額分が反映されるのは、2024年12月の支給分からです。
所得制限について、共働き有利?制限撤廃?
所得制限と所得上限
現行の児童手当の制度では、所得制限なるものが存在します。
親の所得が一定水準以上になると、児童手当の支給額が少なる、または一切支給されないというヒドイ制度です。
詳しくは下の表を見てください。
①の所得制限の額になると「特例給付」という扱いになり、児童手当の額が月額5,000円になってしまいます。第3子以降であっても、5,000円になります。
②の所得上限の額を超えると、児童手当は支給されなくなります。一銭ももらえないということです。
扶養親族 等の数 | ① 所得制限 | ② 所得上限 | ||
---|---|---|---|---|
所得 (万円) | 収入目安 (万円) | 所得 (万円) | 収入目安 (万円) | |
0人 (前年末に 児童が0人) | 622 | 833.3 | 858 | 1,071 |
1人 (児童1人) | 660 | 875.6 | 896 | 1,124 |
2人 (児童1人 +配偶者) | 698 | 917.8 | 934 | 1,162 |
3人 (児童2人 +配偶者) | 736 | 960 | 972 | 1,200 |
4人 (児童3人 +配偶者) | 774 | 1,002 | 1,010 | 1,238 |
5人 (児童4人 +配偶者) | 812 | 1,040 | 1,048 | 1,276 |
※ 収入額の目安は給与収入のみで計算しています。あくまで目安です。所得控除の額が多い方や不動産収入や株式投資などで収入がある方など、目安とは異なってきます。最終的な所得の額によって判断されます。
この所得制限や所得上限の判断は、児童を養育している両親のうち、所得の高い方の額で判断されています。
夫婦の所得の合算ではない点に注意してください。
共働き有利?
上の章でも述べたように、児童手当の所得制限の判断は夫婦の所得の合算ではなく、どちらか片方の所得の多い方の額で判断されています。
これは共働き夫婦の方が有利な制度になっていますね。
例えば、夫婦と子2人の家族の場合
夫 年収1,000万円 妻 パートで年収100万円 世帯年収1,100万円だが、夫の所得が所得制限の範囲にあるため特例給付となり、児童手当は月5,000円だけとなる
夫 年収900万円 妻 年収200万円 世帯年収1,100万円で、夫婦のどちらとも所得制限に引っかからないので、児童手当は満額支給される
このようになります。
うーん、いわゆるパワーカップルが一番有利なのでしょうか?
夫婦どちらもフルタイムで働く場合、家事・育児がよりたいへんになっていくので、収入面を重視するのか時間を重視するのかで、何が一番有利なのかは判断が分かれるところかなと思います。
所得制限の撤廃?
2024年(令和6年)10月より、児童手当が高校生まで拡充および第3子以降は増額されることになりました。
さらに、上記で述べていた所得制限や所得上限に関しても撤廃されることが決まりました。
これは歓迎すべきことだと思います。
高収入な親の子どもであれ、子どもは子どもですし、区別する必要はありません。
また高収入な親は税金を人より多く納めているわけですから、子育てで差別されるのは納得いかないと思います。
高所得者層に冷たい政策ばかり続けていると、国外に移り住む人たちが増えてしまいます。実際に増えているデータもあるようです。
そうなると、日本の稼ぐ力がますます弱くなってしまいます。
目の前の財源をケチってわずかな節約をするために、将来の収入源を失うのは愚の骨頂です。
無駄な税金の使い方は当然是正されなければなりませんが、子育てに関することは、絶対に将来のためになるのですから、あまりみみちい節約は逆効果になると思います。
児童手当の拡充及び総額について:まとめ
ここまで幾度となく児童手当の拡充・増額について述べてきましたが、ここで今一度整理してまとめておきます。
児童の年齢 | 現行 (1人あたり月額) ※ 所得制限あり | 2024年10月~ (1人あたり月額) ※ 所得制限なし |
---|---|---|
3歳未満 | 一律 15,000円 | 15,000円 (第3子以降は 30,000円) |
3歳以上 小学校終了前 | 10,000円 (第3子以降は 15,000円) | 10,000円 (第3子以降は 30,000円) |
中学生 | 一律 10,000円 | |
高校生 | なし |
2024年10月から、高校生も児童手当の支給対象になります。しかも所得制限も撤廃されるので、全ての子が対象となります。
第3子以降は月額3万円に増額されます。
第3子としてのカウントの仕方も変更されそうで、第1子が22歳の年度まで月額3万円が続きます。
つまり第1子と第3子の年齢差が4歳以内であれば、高校卒業まで3万円の支給ということです。
(第1子が23歳の年度になると、第3子が第2子ということになり、月額1万円支給に変わってしまいます。)
第3子のカウントの仕方の変更については現在検討中とのことなので、続報を待ちましょう。
第3子への6万円はどうなった?
「第3子以降の児童手当は月額6万円を!」
こういうニュースを見たことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
実際に、2022年5月に自民党の少子化対策調査会が「第2子には月3万円、第3子以降には月6万円の支給を検討すべき」と提言しています。
このニュースはけっこう話題になりました。
子どもが3人いる場合、月額10万円の補助を受け取れることになりますからね。
ただ検討した結果、この提言は実現されず、上の章で述べたように月額3万円への増額ということに決まりました。
政策を実現させるためには何事にも予算が必要なので、現在の日本の予算ではこれが目一杯なのかもしれません。
児童手当の高校生への支給は2024年12月から
2024年10月より児童手当の支給対象が高校生まで拡大されることになりました。
ただ実際に児童手当が振り込まれるのは、2024年10月からではなく2024年12月からとなります。
10月分と11月分が12月に支給されます。
なので、2024年12月が最初で以後は2ヶ月おきに振り込まれることになります。
支給対象期間は高校卒業の3月までなので、最後の2月分と3月分は、高校卒業後すぐの4月に振り込まれます。
自治体独自の児童手当を支給しているところもある
これまで述べてきた児童手当とはまた別に自治体独自の児童手当を上乗せして支給しているところもあるようです。
東京都の018サポート
0~18歳(18歳になる年度の3月)まで、子ども1人あたり月額5,000円の支給。所得制限はなし。
都内に在住していることが条件。
2023年の1月分からスタートで、2024年の1月に2023年の12ヶ月分60,000円を一括支給。
給付を受けるには申請が必要とのことで注意。
東京都は、全国と比べて子どもの教育費の平均が1世帯あたり8,000円ほど上回っているとのこと。この差を埋めるべく018サポートを実施するらしいです。
予算がたくさんある東京だからこそできる支援と言えます。
岐阜県の第2子以降出産祝金
2023年4月1日以降に生まれた第2子以降の子1人につき、10万円を支給。
所得制限はなしで、岐阜県内に在住していることが条件。
給付を受けるには住民登録がある市町村で申請が必要。各市町村の問い合わせ窓口
秋田県のあきた出産おめでとう給付金
第1子以降つまり秋田県で生まれた子すべてに1人あたり2万円を支給。
※ 支給の形態(現金・クーポン等)は市町村によって異なる
所得制限はなしで、秋田県内に在住していることが条件。
給付を受けるには申請が必要で、各市町村で行う。
申請書は、出生後の乳児家庭全戸訪問時に職員が渡してくれるそうです。
兵庫県明石市の高校生世代への児童手当
高校生の間の3年間、1人につき月額5,000円の支給。
所得制限はなしで、明石市内に住民登録があることが条件。
児童本人名義の口座に振り込まれる。
支給月は10月・2月・6月と年3回に分けて支給される。
受給するには申請が必要。明石市高校生世代への児童手当(明石市独自)
子育て支援が厚い町として何かと有名な兵庫県明石市の独自施策のようです。
2023年度から始まっているようです。
児童手当の受給者や振込先について
児童手当の受給者とは
児童手当の支給対象者はもちろん児童ですが、実際にお金を受け取る受給者は、その児童を養育している者つまり一般的には親です。
受給者は家庭の中での生計中心者で、児童を税法上扶養している方や、児童と同一の健康保険に加入されている方等で、総合的に判断されます。
両親とも就労している場合は、原則として恒常的に所得が高い方が受給者になります。
ただし、父母が別居しかつ離婚調停中である等、夫婦間の話し合いだけでなく法的に離婚に向けて動いている場合は、生計維持の程度に関わらず、児童と同居している方が受給者となります。
受給者が父または母とならない場合
受給者が父または母とならないケースは以下のようなものがあります。
- 両親の代わりに児童を養育している祖父母
- 児童を養育する未成年後見人(法人も可)
- 児童を養育し、かつ父母等が指定する方(父母等が外国居住の場合に限る)
- 児童が入所する施設の設置者または里親
- 上記以外の場合で、児童を養育(監督・保護し、かつ*生計を維持)する方
*生計を維持 とは、児童の生計費の大半を支出していること。生計を同じくしているだけでは支給要件を満たさない。
児童手当の振込先について
児童手当は、毎年6月・10月・2月と4ヶ月おきに、受給者名義の口座に振り込まれます。
各月の何日に振り込まれるかは、自治体によって異なります。
また4ヶ月おきの支給は、2024年10月までで終了し、2024年12月から2ヶ月おきの支給となる予定です。
「児童手当」と「児童扶養手当」の違い
ぬか喜びに注意
児童手当とよく似た言葉で、児童扶養手当というものがあります。
これは児童手当の別名ではなく、まったく違うものです。
『児童扶養手当の拡充が決定!というニュースを見て、やったぁと喜んだら関係なかった』みたいに、ぬか喜びしてしまわないように、違いを整理しておきます。
児童扶養手当とは
父母の離婚や死別などで、*ひとり親の家庭の児童が支給対象になる手当です。
*ひとり親 でなくても、父または母が重度の障害の状態にある場合なども対象になります。
児童が18歳に達する日以降の最初の3月31日(一般的に高校卒業月)まで支給されます。
※一定以上の障害の状態にある場合は20歳未満まで支給されます。
なお、児童扶養手当と児童手当は基本的に異なる制度なので、要件を満たしていれば両方受給できます。
児童扶養手当の支給額と所得制限
支給額
対象児童 | 全部支給 【月額】 | 一部支給 【月額】 |
---|---|---|
児童1人 | 44,140 円 | 44,130 円 ~ 10,410 円 |
2人目 | 10,420 円 | 10,410 円 ~ 5,210 円 |
3人目以降 | 6,250 円 | 6,240 円 ~ 3,130 円 |
例)子どもが3人おり全部支給の場合は、44,140円+10,420円+6,250円で 60,810円となる。
※追記
2023年12月7日のニュースで、第3子以降の児童扶養手当も第2子と同じ水準の月額最大10,420円まで引き上げる方針を固めたと報道されました。
所得制限
親の所得が一定水準を超えると、一部支給となり受給できる額が減ります。
またさらに所得が上がり限度額を超えると、一部支給もなくなります。
所得制限の詳しい額は以下の表のとおりです。
扶養人数 | 受給者本人の所得制限 | |
---|---|---|
全部支給 | 一部支給 | |
0人 | 49 万円 | 192 万円 |
1人 | 87 万円 | 230 万円 |
2人 | 125 万円 | 268 万円 |
3人 | 163 万円 | 306 万円 |
4人 | 201 万円 | 344 万円 |
児童以外に扶養している親族がいる場合は、上の表の限度額に加算できる額がある。
また、所得から控除できるものがいろいろとあります。詳しくは、厚生労働省「児童扶養手当制度の改正について」
支給日
児童扶養手当は2ヶ月おきに金融機関の口座に振り込まれます。
5月・7月・9月・11月・1月・3月と奇数月に振り込まれます。
児童手当の児童扶養手当の違い・まとめ
児童手当はすべての児童を対象としたものであるのに対して、児童扶養手当はひとり親家庭の児童を対象としたものです。
現行では、どちらにも所得制限があります。
ただ、児童手当に関しては2024年10月より所得制限が撤廃される方針です。
児童扶養手当を受給している場合でも、要件を満たしていれば児童手当も受給できます。
2023年8月末時点で、児童扶養手当の受給者数は83万6000人とのことです。
18歳以下の人口が約1900万人なので、約4.4%が該当します。
「子ども手当」という言葉も聞いたことあるけど、なくなった?
子ども手当という言葉も聞いたことあるけど、児童手当と何か違うの?
もしかして、「児童手当」とは別に「子ども手当」もあるのに申請していないから、もらい損ねてるのでは?
このような疑問を持たれている方もいるかもしれないので、解説します。
子ども手当は、民主党政権下の鳩山由紀夫内閣により2010年4月1日より実施された「15歳以下の子供を扶養する保護者等」に対し、給付金を支給する制度です。
2012年4月1日をもって児童手当の名称に*戻されました。
*戻されたというのは、児童手当は1972年から始まっており、いろいろと中身を変えながら続いています。その中で、2010年4月から2012年3月の間だけ「子ども手当」という名称になっていたということです。
日本では自民党政権の時代が圧倒的に長いですが、2009年9月から2012年11月の間は民主党政権でした。
中身はあまり変わっていない制度でも、とりあえず自民党政権が使ってきた名称は変えたい、こんなところかもしれません。
そもそも児童手当ってどういう制度?
児童手当は、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とする制度だそうです。
わかりやすく言い換えると、
児童手当は、子ども達の家庭での生活が安定することに役立ち、次の世代を担う子ども達がすくすくと成長する助けになるようにと作られた制度です。
児童手当自体は1972年から開始されているみたいですが、1972年と現在ではかなり状況が違っています。
現在では深刻な少子化が問題になっています。このままだと今の国の制度が維持できなくなるという危機感があります。
児童手当を拡充・増額することで、なんとか少子化を食い止めたいという意味合いが強くなってきていると感じます。
少子化を食い止めるぐらい効果があるものにしようとすると、2024年の児童手当の拡充後の額でもまだまだ不十分と言わざるをえません。
しかし、十分な額にしようとすると財源の問題もあります。
貧富の差の拡大・都市部への人口集中・晩婚化・少子化、これらは日本だけでなく世界中の多くの国で起こっています。
日本だけが頑張っても解決するのは難しそうです。
なんとか知恵を絞っていい案を出しあって、少子化が改善されればいいなと思います。