東南アジア移住は本当に安い?日本の地方暮らしと徹底比較!コスト・暮らしやすさ・リスクを総まとめ


東南アジア移住ブームの裏側にある“本当の生活コスト”

近年、「日本を離れて、東南アジアで安く暮らしたい」という人が増えています。
SNSでは「月10万円で快適生活!」「南国リタイア生活!」といった夢のような情報も多く見かけますが、果たして本当にそんなに安く、快適に暮らせるのでしょうか?

一方、日本国内でも「地方移住」や「田舎暮らし」が見直されており、住居費や生活費を抑えつつ、自然の中で穏やかに暮らす選択肢もあります。

本記事では、「東南アジア移住」と「日本の地方暮らし」の生活コスト・利便性・リスクを徹底比較。
“どちらが自分に合うのか”を判断できるよう、実例を交えて整理します。


東南アジア移住の実態:月10万円で暮らせるは本当か?

東南アジア主要国の生活費目安

まずは、人気の移住先となる国々の月間生活費目安を見てみましょう。

国名主要都市月の生活費目安(単身)備考
タイチェンマイ/バンコク8〜15万円家賃次第で変動大
マレーシアクアラルンプール10〜18万円医療・治安が良い
ベトナムダナン/ホーチミン7〜13万円食費・交通が安い
フィリピンセブ/マニラ9〜14万円英語通用・気候温暖
カンボジアプノンペン6〜12万円ローカル重視で安価

👉 結論:節約生活なら10万円前後で可能。ただし“快適に”暮らすなら15万円前後が現実的。


家賃・住居費:最も差が出るポイント

  • チェンマイでは、1ベッドルーム(家具付き)アパートが月3〜5万円程度。
  • マレーシアでは郊外コンドミニアムが月5〜8万円
  • フィリピンでは、中心部コンドミニアムで月7〜10万円程度が相場。

一方、セキュリティや清潔さを求めると、日本人向け物件は高額化します。
「安い部屋に住む=快適さを多少犠牲にする」ことも多いのが実情です。


食費・日用品・交通費の実例

  • ローカル食堂なら1食150〜300円。1日3食でも月3万円前後
  • 日本食レストランや輸入品を多用すると倍の6万円以上
  • Grab(配車アプリ)利用で移動も安価、月1万円以下に収まるケースも。

物価は確かに安いものの、「日本クオリティ」を求めると出費が膨らむ構造になっています。


医療・保険・通信費の見落としがちなコスト

  • 医療費は国によって差が大きい。民間病院で診察すると1回5,000円〜2万円。
  • 医療保険(海外滞在者向け)に加入すると月5,000円〜1万円前後が目安。
  • 通信費はSIMカード利用で月1,000円〜2,000円と安価。
  • ただし、停電・通信断などのトラブルが起きる地域も。

日本の地方暮らし:思ったより“悪くない”コストバランス

物価の安い県ランキング(総務省統計+民間調査)

総務省の「消費者物価地域差指数」によると、
生活費が安い県の上位には以下が並びます。

1位:宮崎県
2位:鹿児島県
3位:長崎県
4位:群馬県
5位:山形県

これらの地域では、家賃・食費・水道光熱費が都市部より20〜30%安く、
単身者なら月12〜15万円で十分暮らせるデータもあります。


地方暮らしの現実的コスト内訳(例:宮崎県)

  • 家賃:4〜5万円(1LDKアパート)
  • 食費:4万円
  • 光熱費・通信費:1.5万円
  • 交通費(車維持費含む):2万円
    👉 合計 約12〜13万円

この水準で「医療・治安・言語ストレスなし・年金対応」も維持できるのは、東南アジアにはない強みです。


地方暮らしの課題点

  • 収入源が限られ、リモートワーク前提の人でないと厳しい
  • 車が必須な地域が多く、維持費が追加発生
  • 娯楽・交流・医療アクセスが都市より劣る

ただし、家賃と生活コストの安定性、そして安全性の高さは明確な強み。
リタイア層や副業ワーカーには十分現実的な選択肢です。


【比較】東南アジア移住 vs 日本地方暮らし:どちらが得?

費目東南アジア日本地方
家賃◎ 3〜6万円○ 4〜5万円
食費◎ 3〜5万円○ 4万円
光熱費○ 1万円以下○ 1.2万円
通信費◎ 0.2〜0.5万円○ 0.8万円
医療・保険△ 1万円前後◎ 0.5万円
移動費◎ 0.5〜1万円△ 2万円(車前提)
安全・衛生△〜○
文化・言語

👉 単純なコストでは東南アジアが有利。
しかし、「医療・安全・快適さ」を考慮すると、日本地方がバランスに優れる。


“安さ”以外の判断軸:見落とされがちな5つのポイント

  1. 治安と政治安定性
     東南アジアでは治安や政情が国によって不安定な地域もあります。
     夜間外出や金銭トラブルのリスクを考慮すべきです。
  2. インフラ(電力・水道・通信)
     都市部は整備が進む一方、地方では停電や断水が発生するケースも。
  3. 医療体制と保険制度
     軽症は対応可でも、重症時は日本帰国が必要なケースもあります。
  4. ビザ・滞在許可制度
     リタイアメントビザの発行条件は「預金額・年齢・収入証明」などハードルがある国も。
  5. 社会的つながり・言語
     孤立しやすい環境になりがち。日本語で完結する生活を望むなら地方移住の方が安心。

どちらを選ぶべき?タイプ別おすすめ

タイプ向いている選択
ノマド・リモートワーカー東南アジア(通信環境+低コスト)
セミリタイア・年金生活者日本地方(医療・安全)
子育て世帯日本地方(教育・制度が安定)
英語・異文化に挑戦したい人東南アジア(経験値重視)

まとめ:東南アジア移住は「夢」ではなく“戦略”として考える

  • 東南アジアでは、節約志向なら月10万円以下も可能。
  • ただし、「医療・治安・快適さ」を犠牲にする部分もある。
  • 日本の地方は安定性・安全性・制度面の優位が大きい。

つまり――
「東南アジア=安い」「日本=高い」という単純構図ではなく、
「自分が何を重視するか」で判断すべきテーマです。

たとえば、短期的に物価の安い国で暮らしながら、長期的には日本地方へ定住する“ハイブリッド型”も現実的な選択肢です。


次の一歩:自分に合う生活をシミュレーションしてみよう

  1. 東南アジア滞在の試算 → 旅行+1か月滞在で実地確認
  2. 日本地方移住の候補地を現地視察(自治体の移住体験プランも活用)
  3. 自分のライフスタイル・年齢・収入でシミュレーション

「どこに住むか」は、“コストだけでなく価値観”で決める時代です。
あなたにとって、安心して続けられる暮らしを選びましょう。